株式会社ジーベックテクノロジーです。弊社はタップ穴のバリ取り自動化を行うことができるXEBEC裏バリカッター&パスを発売している工具メーカーです。
ここでは「タップ加工」という基本的な内容から、手順や種類などについて解説します。
タップ加工とは、事前に開けた穴に対してめねじ(ねじを受け入れる側の螺旋)を作る加工のことです。
ねじによる締結を要する製品においては、欠かせない工程と言えます。
また、実際にめねじを作るための工具を「タップ」と呼びます。
【補足】ドリル加工・リーマ加工との違い
ドリル加工およびリーマ加工は、タップ加工と同じ穴加工に分類されますが、それぞれ目的が異なります。
・ドリル加工:穴を開ける加工
・リーマ加工:穴を広げて精度を出す加工
・タップ加工:穴にめねじを作る加工それぞれ意味を混同しないよう、違いを理解しておきましょう。
タップ加工の手順は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
まずはめねじを作るための下穴を開けます。
この段階で用いたいねじの大きさを決めておき、それに合わせて下穴を開ける必要があります。
なお、下穴の精度は非常に重要です。
下穴の精度が悪いと上手くタップを挿入できないだけでなく、最悪の場合はタップが折れてしまう場合もあります。
大きな穴の場合は、小さな穴を2〜3回に分けて拡大していくのがポイントです。
下穴には、事前に切削油を注入します。
切削油を注入することで、切屑の詰まり防止や工具の寿命延長につながります。
切削油については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参照してください。
タップを回転させながら挿入し、ねじ山を作ります。
タップを回転させる方向は、ねじを切りたい方向へと合わせます。
タップ加工は主に以下の2種類に大別されます。
それぞれ詳しく解説していきます。
切削タップ加工とは、タップを使ってねじの谷部分を切り落とし、ねじ山を作る加工方法のことです。
切削タップ加工は下穴に高い精度が要求されない加工方法ですが、切屑が都度発生します。
そのため、切屑の排出方法も併せて検討しておく必要があります。
転造タップ加工とは、下穴の金属に圧力を加え、押し広げるようにねじの山と谷を作る加工方法のことです。
転造タップは切削を行わないため、切屑が発生しないのがメリットです。
ただし、下穴を高精度で開けておかないと、ねじの加工精度も大きく低下する恐れがあります。
タップ加工には、主に以下のような工具を用います。
それぞれの工具について、詳しく解説していきます。
スパイラルタップは、スパイラル状にねじれているタップです。
切屑はタップ側面に設けられた溝に沿い、手前方向へと排出されます。
切屑が下へと落ちにくいため、幅広い加工で用いられます。
ポイントタップは、食い付き部分が斜めになっているタップです。
切屑はタップの進行方向へと排出されます。
なおポイントタップは、通り穴に対して用いられることが多いです。
ロールタップは、転造タップ加工に用います。
切屑がほとんど発生しないのが特徴ですが、下穴に高い精度が要求されるため、やや扱いが難しいのがデメリットです。
タップ加工を行うにあたっては、いくつかの注意点があります。
それぞれ詳しく解説していきます。
タップ加工を行う素材は、加工中に動かないよう確実に固定しましょう。
固定が不十分だと、精度不良やタップの破損などにつながる恐れがあるからです。
固定が確実にできているかどうかは、作業の都度確認する必要があります。
タップにはさまざまな種類があるので、適切な種類を選定する必要があります。
具体的には、加工素材の材質や硬さを考慮してタップを選定しましょう。
また、タップの種類によって切屑の排出方向も変わってくるため、加工対象の穴が通り穴か止まり穴かも確認しておく必要があります。
加工に用いるタップの大きさは、下穴径で決まります。
具体的には下穴径に対し、ねじ内径が公差内に収まるように選定します。
下穴径とタップの大きさが合っていないと加工精度は落ちるため注意しましょう。
タップ加工において、切削油の使用は欠かせません。
タップ加工時には素材とタップ間に大きな摩擦抵抗が発生するため、切削油による潤滑が求められます。
また、切削油を用いることで、切屑の排出性向上や溶着防止にもつながります。
切削油については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも参照してください。
タップ加工とは、事前に開けた穴に対してめねじを作る加工のことです。
下穴を開けた後に切削油を注入し、タップを回転させながら挿入することで加工を行います。
タップ加工を高精度で実施するには、タップの種類および加工条件の正しい選定は欠かせません。
なお、弊社ではタップ加工後のバリ取り自動化のご相談を随時承っております。
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