研磨加工とは

株式会社ジーベックテクノロジーです。
弊社は、セラミックファイバー製の砥石を提供している工具メーカーです。

多くの工場では研磨加工の工程を取り入れて、完成品の製品精度の向上や鏡面仕上げで外観に光沢を演出しています。
しかし、研磨加工といってもさまざま種類があり、研削加工との違いも分かりにくいものです。
そこで、研磨加工の方法や使用する砥石の種類、研削加工の後に研磨加工が必要な理由など、幅広く整理してご紹介していきます。

 

目次
1.研磨加工とは
2.研磨加工の種類
3.他の加工方法との違い
4.研磨加工の方法
5.研磨加工に使用する砥石の種類
6.研削加工の後工程に適した研磨加工の重要性
7.研磨加工で重要なバリ取り・面取り
8.まとめ

 

 

1.研磨加工とは

研磨加工は、製品の表面部分を綺麗に仕上げる加工方法を指しています。
多くの製造現場では作業図面通りに製品を加工して仕上げていきますが、研磨加工では表面の凸凹を均等にならしてバリを除去し、光沢を出すことを目的としているので、現場の最終工程に組み込まれているものです。

研磨加工は「研ぐ磨く」の文字通り、砥石などを用いて製品を磨いていきます。
磨くのが基本となるので、研削や切削のような大きな取り代を要することはありません。
また、研削・切削ごとの仕上げ工程とは分けて、「超仕上げ」工程とも呼ばれています。
ただ、高速回転している製品に対し、研磨する砥石によっては数ミクロンほどの取り代を擁する場合もあります。

一般的に、多くの方が研磨加工でイメージしやすいのは木材を使った加工方法です。
たとえば、自宅でDIYに取り組む場合、ホームセンターで木材とのこぎりを用意するでしょう。
簡単な犬小屋や机、椅子、子供用のおもちゃ箱など、素人でも作れるものは多くあります。
まず、木材をのこぎりで切断し、手ごろなサイズに分けて、それらを接着剤やビスで組み付けて固定していきます。
簡単なものなら1時間も経たない内に作成できるものです。

しかし、出来上がったものをすぐに使用するのは危険なこともあります。
木材の切れ目は綺麗なようでもトゲがあり、子供やペットが不用意に触ればトゲが刺さってケガをする可能性があります。
このような場合にはサンドペーパー(紙やすり)を使って破断面を磨き上げます。この磨き上げる作業もまた研磨です。

木材の切断箇所を研磨することで表面が滑らかになり、直接触れてもトゲが刺さることはありません。
そして、破断面はサンドペーパーを用いることで見た目も良くなります。
最終的に、ペンキを塗る場合には、研磨したほうが均一に塗れてムラがなくなります。

この一般的なDIYの例でも分かる通り、製造業の現場では研磨加工は最終工程として用いられ、磨き上げることで表面粗さを演出して品質を向上させ、光沢を出して外観を美しくさせる効果があります。

 

 

2.研磨加工の種類

研磨加工には目的によってさまざまな種類があります。それぞれの違いをみていきましょう。

 

砥石研磨

砥石研磨は高速回転する砥石にワーク(製品)を当てて表面を加工する研磨方法です。
その逆として砥石を固定させてワークを動かしながら当てるのも砥石研磨の加工方法です。

サンダーやグラインダーのように、砥粒が脱落してもドレスをせずに次の砥粒が表面に出てくるので、加工をストップしないでも継続した作業が可能です。

砥石研磨は固定砥粒加工方法の一種ですが、同じように砥石を使用してトラバース加工する研磨方法もあります。
軸方向に動かすプランジ加工とは異なり、ワークを回転させてトラバース(横に移動)するので表面の鏡面加工に優れた加工方法です。

トラバース加工にもチャックされたワークが移動するものもあれば、砥石ホルダーと加圧シリンダーが一体となって回転するワークの上を移動する加工方法があります。
それぞれオシレーションリングの振幅幅によって適度なオシレーションを行い、表面粗さを向上させていきます。

 

研磨布紙加工

一般的に先述した紙やすりともいいますが、サンドペーパーもれっきとした砥石です。
見ただけでは砥石に見えませんが、直接指を当ててこするとケガをする恐れがあります。
このサンドペーパーにも粒度によって#やPといった番手に分けられており、用途によって使い分ける工場の作業者も見受けられます。

また、工場によっては帯状の布ベルトを自動回転させて、工作物を押し当てて研磨することもあります。
ワークを研磨することもあれば、段取りで使用する部品や治具のバリ取りに使用することもあるでしょう。

 

ラッピング研磨

ラッピング研磨はラップ盤といわれる平らな定盤にキャリアを設置し、ワークをチャックして定盤を回転させていきます。
研磨剤に砥粒を含みこすり合わせることで鏡面加工に仕上げることが可能です。

ラッピング研磨には湿式と乾式の加工方法があります。
湿式は研磨剤を流し込んで低圧で加工し、乾式は砥粒に研磨剤をすり込んで高圧で加工します。それぞれ用途によって使い分けていきます。

 

テープ研磨

テープ(フィルム)に砥粒を塗布して回転するワークに押し当てる研磨方法です。
テープにはさまざまな種類があり、幅も研磨する製品に合わせて交換できます。
新しいテープで研磨していくので、ドレスもいらずクーラントも不要なことから、滑らかで精密な仕上がりを満足できます。

 

バフ研磨

バフ研磨は回転する柔らかい素材をワークに押し当てて磨き上げる研磨方法です。
バフ研磨に用いる素材はフェルトや布といったものですが、これらに研磨剤を付けて加工していきます。

工場によってはバフ研磨の意味合いが大きく異なることもあり、研磨剤を付着した柔らかい素材を称してバフ砥石と呼んでいる場合が多くみられますが、一概にすべての工場で同じバフ研磨加工方法をしているとは限りません。

ほとんどの工場で共通しているのは、柔らかい素材に研磨剤を塗布して回転する研磨盤にセットし、ワークを押し当てて鏡面仕上げやツヤ出しを演出していることでしょう。

基本的に研磨加工では最終工程に採用されることが多いのも特徴的です。

 

バレル研磨

バレル研磨は大きなタンク型の容器に研磨剤(コンパウンド)、水、研磨石(メディア)とワークを投入して、容器を回転・振動させることでワークの表面を研磨する加工方法です。
光沢を出してバリ取りにも適しています。

研磨は手作業だとどうしても作業者ごとにバラつきが生じるものですが、バレル研磨では一定の圧力が起きるのでワークごとに表面のムラがなく均一に仕上がりやすくなります。

また、大型の容器には一度にたくさんのワークを投入できますので、大ロット品を扱うラインなどには大量生産できるのも大きな特徴と言えるでしょう。

 

電解研磨

電解研磨は液体に電気を通す電解研磨液を用いて、ワークに電流を流し込んで表面を滑らかにする研磨方法です。
ワーク表面の細かい凸凹や研磨しづらい狭い面にも電気を通して研磨することが可能で、高精度の仕上がりが要求できます。

ただ、他の研磨方法よりもコストが生じ、ステンレスやアルミニウムには適しているものの、すべての金属に研磨可能というわけではありません。

 

 

3.他の加工方法との違い

研磨加工と似た言葉に研削加工があります。
工場や部署によっては研削と研磨が同じライン上で加工されていることもあり、どちらも同じ意味で使われることもありますが、厳密には異なる加工方法として扱われています。

ワークの表面を仕上げていく研削加工はどのようなものか見ていきましょう。

 

切削加工

切削加工とは製品を仕上げる工程というよりも、設計段階の形状に整えるために製品を削り出す工程を指しています。
多くの工場では最初に行われ、切削加工から製品精度を向上する研削・研磨加工に移ります。

切削加工には主に「旋盤」「フライス盤」「ボール盤」といった機械があり、外径・内径・穴開けなど、目的の形状に仕上げていくことが可能です。

切削加工は製品自体を作ることもできますが、研削・研磨加工がメインの工場においてもフライス盤や旋盤による部品の作成、ボール盤によるねじ穴のインチアップなど、生産されている製品とは違う用途でも使用されており、極めて汎用性が高い加工方法とも言えます。

 

研削加工

研削加工は高速回転している研削砥石で金属を削る加工方法です。
主に切削加工の次工程として存在しています。
研削加工は大きく加工物の形状を変えることはできませんが、ワーク表面の仕上がりを向上させて滑らかにすることが可能です。

また、研削加工は取り代の関係で荒工程と仕上げ工程に分けて行う場合もあり、同じ設備であっても砥石の粒度を変えて研削することもあります。

研削加工には「平面研削盤」「円筒研削盤」「センタレス研削盤」「両面研削盤」などがあります。
研磨加工と同じような加工方法をしている設備もあり、切削加工よりも高精度な仕上がりを要求する場合に使用されています。

 

放電加工

放電加工はその名の通り、放電する電気をエネルギーとして加工していきます。
切削加工や研削加工で除去できない場合に用いられ、ワイヤーに電流を流し込んで加工物を切断するなど、硬い物質を加工する場合には最適といえるでしょう。

 

 

4.研磨加工の方法

研磨加工の手順についてみていきましょう。
主な工程として「下地」「ならし」「つや出し」「鏡面仕上げ」と4つに分かれています。
加工する材料や完成品の精度、客先要求によって異なる部分もあります。

 

下地

下地とは表面の凸凹や異物を除去していき、手順的には最初に行うべきといえます。
いきなり表面を仕上げようとしても、下地ができていないと最終的な製品精度は満足するものとはならないでしょう。
それだけに下地はとても大切な加工手順となります。

使用する砥石は粒度が低い(粗い)ものを選定し、大きく削り落としていきます。
基本的に製品精度を満たすためには、粒度の高い砥石を使用して粗さを向上していくものです。
しかし、下地の段階で粒度の高い砥石を使えば目詰まりを起こしてしまい、砥石の切れ味が鈍くなってより表面の凸凹が増していきます。

下地は精度を向上するために行いますが、それはあくまでも後工程のためであり、いきなり精度を図面規格まで近づける必要はありません。
この理由は次工程の「ならし」で説明していきます。

 

ならし

下地である程度表面の凸凹や異物を除去できれば、ならしに入っていきます。
下地では表面がまだまだ粗く、いってみればザラザラの状態です。
ならしは下地よりも砥粒の高い砥石を選定し、表面の精度を向上させていきます。
ならしを実施することで、下地では取り切れなかった表面の凸凹や異物が完全に除去することが可能となります。

同じ表面の凸凹や異物を除去する作業なら、工程を減らすために加工する側としては最初からならしに入りたいともいえますが、材料の段階からならし作業を行っても、表面が滑らかにすることは難しいものです。

ロットが多い製品を加工する場合、同一製品であっても材料の段階ではすべて均一な表面仕上がりになっていません。
製品ごとにバラつきのある表面も、粗い砥石を使用して下地をしっかりと行うことで、ある程度は均一に仕上げることができます。
これによってならし工程で綺麗な表面にすることが可能となり、次工程のつや出しが活きてくるといえるでしょう。

 

つや出し

つや出しは言葉の通り、製品表面の艶を出していきます。
下地とならしの工程でほとんどの表面上にある凸凹や異物は除去できているはずです。
ただ、この段階ではまだ表面上には汚れが目立ってしまい艶もありません。
研磨加工は最終的に鏡面仕上げにしてツルツルにしていくことです。

つや出しはその前段階として必要であり、ならしから鏡面仕上げに入ると、ムラになりやすく綺麗な光沢もできません。
綺麗な表面に仕上げるためにも、ならしから鏡面仕上げの間につや出しを入れるようにしましょう。

つや出しはならしよりも砥粒の高い砥石を選定しておきます。
目の細かい砥石を使用することで、ならしの時にはできなかった表面上の汚れが除去でき、きめ細かい表面に仕上げることができます。

 

鏡面仕上げ

研磨加工の最終工程になるのが鏡面仕上げです。
鏡面という言葉から分かるように、表面を鏡のように光沢を出していきます。
最終工程というだけあって、ここで加工される製品は傷もなく綺麗な状態に仕上がっています。

最終工程ですが、ほとんど表面が仕上がっている状態なので、大きい作業を要することがありません。
これまでに使用した砥石よりも粒度の高いものを使用し、まさに磨くイメージで鏡面仕上げにしていきます。

もちろん、出荷する完成品ですので表面粗さや真円度などのデータを記録し、一つ一つの外観も重要なものとなります。
ならしまでしっかりできていれば、一回の研磨で鏡面仕上げが完成するものもありますが、砥石を変えながら光沢を演出しなければならない場合もあります。
これらは出荷先(客先)の要求によって表面の仕上がりが異なるものであり、最終的に砥石ではなくて研磨剤を使用するバフ研磨を最後に入れることもあります。

 

(小話)客先要求によって品質レベルが異なるので常に改善する意識が必要

これまでに何度か出てきましたが、研磨加工も客先の要求によって加工方法が異なる場合もあります。
たとえば、工場で加工している「A-1」という製品を3つの会社に出荷するとします。
同一製品であっても出荷先が複数あることは珍しいものではありません。

具体例として、3つの会社のうち、X社に収める製品を「A-1-X」、Y社に収める製品を「A-1-Y」、Z社に収める製品を「A-1-Z」とそれぞれ製品名を変更するとします。

会社名 X社 Y社 Z社
製品名 A-1-X A-1-Y A-1-Z
毎月の注文数 400 300(今後需要増見込み) 1500
品質レベル 極めて高い 高い 一般
鏡面仕上げ変更 必要 不要 不要
単価 1,500 1,000 1,000
工程 5回 4回 4回
備考 求められる品質レベルが極めて高く、工程を増やす必要があり単価も高くなってしまう。 求められる品質レベルは高いが、注文数が少ないので通常の工程で契約。今後注文を増やす代わりに、単価は現状維持で品質レベルを上げて欲しいと要求有。  通常の工程で問題ない。

 

同一製品とはいえ、3社とも出来上がりがすべて同じ品質レベルを要求しているとは限りません。
納品先の会社が求める品質は、全く同じものでいい場合もあれば、それぞれ粗さ規格や外観でも異なる可能性があります。
たとえば、光沢一つとっても要求される違いがあるものです。

この表では、X社の求める品質レベルが最も高く、通常の加工方法ではX社の満足いく光沢や粗さ規格を出せません。
そこで、粒度の高い砥石を用いて鏡面仕上げを変更し、工程を一つ増やしています。
もちろん、その分、製品単価は高くなってしまいます。

一方、Z社とY社は鏡面仕上げの工程変更が不要であり、工程も4回とX社に比べて少なく済むので、単価もX社より抑えることが可能です。
特にZ社は注文数も多いので、いわばお得意様といえます。

Y社は要求する品質レベルが高いものの、注文数が少ないので現状の加工方法で契約できています。
ただ、今後の需要増の見込みがあり、品質レベルを上げて欲しいと要求しています。

しかし、X社のように工程を増やしてしまえば、コスト的にも単価を上げざるを得ず、そうなるとライバルとなる他社工場に契約を奪われる可能性があるかもしれません。
Y社と契約を交わす営業部と材料を発注する生産管理部は、自社の売上を伸ばすためにも現状維持の単価をベースとしたいはずです。
そこで、工数を増やさずに品質レベルを向上するよう現場に無茶な要求が通ることも珍しくはありません。
現場的には頭の痛い問題ともいえます。

客先要求を満たして利益を出すためには、生産技術と現場が連携して最適な加工条件を求め、研磨加工の方法や砥石の選定などを常に改善する意識が現実的には求められています。

 

 

5.研磨加工に使用する砥石の種類

研削加工や研磨加工に使用する砥石は、「砥粒」「結合剤」「気孔」の3要素から成り立っているとされます。
砥石の選定はとても大切で、常に同じ砥石を使用して加工するわけではありません。
加工するワークの材質、形状、要求精度によって砥石を変えていく必要があります。

また、砥石には砥粒の種類や硬さを示す5因子があり、要素とともにそれぞれをみていきましょう。

 

砥石の3要素

砥粒

加工物を「削る」「切る」「磨く」ときに使用する粒子で、基本的に材料よりも硬くなっています。

結合剤

砥粒を結合・保持し、接着する役割があることからボンドともいわれています。

気孔

砥石にある隙間で加工中の切り屑を貯めるだけでなく、加工中に生じる熱を放出する冷却効果も兼ね揃えています。

 

砥石には砥粒と結合剤はあるものの、気孔に関しては必ずしも必要とはいえません。
気孔のあるタイプを有気孔、気孔がないタイプを無気孔と呼んでいます。

 

砥石の5因子

砥粒の種類

工場で使用されている砥粒にも種類が分かれています。
代表的なものがA・WA砥石のアルミナ系とGC砥石の炭化ケイ素系です。
アルミナ系は鉄・金属に適しており、炭化ケイ素系はアルミニウムや銅といった非鉄・非金属に向いています。
また、より硬い物質を加工するために、ダイヤモンドやセラミック素材の砥粒もあります。

粒度

粒度とは砥粒の大きさを指し、数値が小さいほど粗くなっていきます。
おおよその大きさを知りたいときは、「15000÷粒度」の計算で砥粒一粒の大きさがミクロン単位で計算可能です。
たとえば粒度80の砥石の場合、15000÷80=187.5となり、砥粒の大きさが約187μmとなります。
基本的に高精度を演出したい場合には、粒度の高い砥石を選定して研磨加工するものです。

結合度

結合度は砥石の硬さを指しています。
正確には、砥粒と結合剤の保持力を示しており、アルファベッドで表示されています。
AからZまでの内、Aに近いほど軟らかく、Zに近いほど硬くなります。
一般的に加工物が軟らかい場合には結合度の硬い砥石で研削・研磨し、逆に硬い加工物には軟らかい砥石を使用するのが基本です。また、研削砥石の場合、周速が速いと砥石が硬くなるので結合度が大きいものと同じ意味合いを持ちます。

組織

砥石容積に占める砥粒の割合をみています。
砥石に対してどれだけ砥粒が含まれているかを図ることができ、0~14までの組織番号ごとに分かれています。
組織番号が大きくなるほど砥粒率が小さくなるので、砥粒の間隔が広い砥石といえるでしょう。

<組織番号と砥粒率一覧>
組織番号: 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
砥粒率(%): 62 60 58 56 54 52 50 48 46 44 42 40 38 36 34

結合剤

結合剤は砥粒同士を結合して保持する役割を帯びています。
ボンドともいわれるのは砥粒を接着して崩れないようにしているからです。
代表的な結合剤は、ビトリファイド(V)とレジノイド(B)があります。
一般的には高速回転・高周速に対応できるレジノイドを取り代も多い荒研削に用いて、形状保持に優れているビトリファイドを仕上げ研削・研磨加工に使用されています。

 

 

6.研削加工の後工程に適した研磨加工の重要性

研磨加工が研削加工とワンセットになっている工場も多くあります。
現場によって研磨加工のことをスーパーや超仕上げ、ラップと呼ぶこともあります。
ここでは研削加工の後工程に研磨加工が適していることを見ていきます。

 

研削加工の現場を困らせる粗さ向上に貢献

製造業で研削加工の現場を困らせるのが「Ra」と呼ばれる粗さ規格です。
研削工程では図面規格を満足できない場合、研磨加工で表面粗さを満たすことが多くなります。
「Ra」は平均粗さのことであり、ミクロン単位で表示されます。

研削加工で何とか製品粗さを満たしたい場合、研削砥石のドレスリード(研削砥石1回転当たりに進むダイヤの移動距離)を短くしてきめ細かい目にしないといけません。
しかし、研削砥石の目を細かくすることは目詰まりを起こす可能性が高くなります。
目詰まりが起きれば次のドレスまで砥石の切れ味が悪くなる一方ですので、ワーク寸法がバラつき、最悪の場合研削焼けを生じてしまいます。

そこで、研削加工の次工程として研磨加工が必要となります。
研磨加工も粗さ精度を向上するためには砥石の選定はもちろん、研削液、回転数や圧力などの加工条件も必要といえるでしょう。
また、前工程の精度も影響するので、それまでの研削加工である程度の製品精度が必要となります。
最終工程となる研磨加工で粗さや真円度を一気に向上させようとすると、必要以上に研磨加工をしてしまい、加圧によって面崩れや製品外径Rが大きく崩れてしまう恐れがあるので危険です。

特にトラバース加工では何度も往復させて粗さを良くしようとすると、中凹みや中高の形状となってしまう可能性があります。
研削加工の後に研磨加工を入れる場合、図面規格の精度はある程度研削加工で満たしておき、表面の粗さを向上するために研磨加工で仕上げるのが理想的かもしれません。

 

研磨加工はワークの真円度も向上させる

研削盤をメインとしている工場の場合、研磨加工は粗さ規格だけでなく、ワークの真円度を向上させる役割があります。
研削加工ではワークを高速回転させている場合、どれだけ振動を少なくするかがカギとなります。
ここで発生した振動は円状に見た場合、山と谷の関係でワークに「びびり」が起こります。
この山と谷の差を少なくすることが、研磨加工のメリットとなります。

研削加工では真円度不良を起こすことは少なくありません。
特に現場の悩みのためといえるのが3角・5角の奇数角形状です。
回転するワークが奇数角の場合、いくら研磨加工でも角数を偶数に変更することはできません。
また、一度3角や5角になってしまえば、研削加工で取り代を増やして修正しても完全には除去できず、そのままの形状が反映されがちです。

しかし、3角や5角でもワーク取り代が十分にある場合、超仕上げ機で先に研磨加工することにより、角が取れて修正しやすい形状に変化し、もう一度研削加工することで真円度を向上することが可能となります。
イレギュラーなケースで工数も増えますが、大ロット品を廃棄するよりかはコストを抑えられることも多いです。

 

 

7.研磨加工で重要なバリ取り・面取り

これまで製品精度の向上や鏡面仕上げにする説明をしてきましたが、研磨加工にはバリ取りや面取りといった作業も可能で、求められています。

「バリ取り」に関して詳しくはこちらの記事でも紹介しています。

バリ取りとは

「面取り」に関してはこちらの記事で詳しく紹介しています。

面取りとは

ここでも、バリが発生することで起きるありがちなトラブルの具体例をご紹介します。

 

バリによる搬送設備でのトラブル

手作業で一つずつ研削や研磨をしている工場では問題ありませんが、製品をコンベアやロボットなどの搬送設備で供給している場合、バリ取りや面取りをしていないと思わぬ動きをすることがあります。

コンベアから搬送設備に乗り上げる場合、ステンレスのVシュートやエアーホースから製品を送り込む場合など、製品が何かに乗り継ぐときには必ず段差が生じます。
特にワークが投入される部品や治具側の面取りできていないと、干渉時に引っ掛かりを起こしてしまう恐れがあるでしょう。

上手く搬送ができなければワーク詰まりが発生して製品同士の干渉した打ち傷もできますし、搬送先にシリンダーがあれば動作異常を引き起こしてしまいます。シリンダーでの搬送トラブルは挟まれ災害となるケースが多発していますので、面取りが原因で労働災害になることも懸念されます。

また、エアシリンダーなら現場でもすぐに復旧できますが、ロボシリンダーの場合にはサーボの座標がずれてしまい、現場作業者ではすぐに対応できないこともあるので、生産活動に支障をきたしてしまいがちです。
このことからも部品や治具のバリ取りや面取りは大切といえます。

 

製品自体にバリが発生

搬送機や設備側の部品ばかりにバリがあるとは限りません。
製品自体にバリが生じていることもあります。
切削加工や研削加工ではワーク表面のみを加工していきます。
ワークにバイト(刃)や砥石が干渉していない部分にはバリが立っているものです。
さらに切削・研削工程で生じた切粉や研磨カスといった汚れがクーラントで除去されずにワークへ付着していることもあります。

このバリや汚れが次工程に影響することもあれば、完成品として出荷されて次の部品に組み込まれたときに悪影響を及ぼす可能性が高くなってしまいます。
製品自体へのバリ取りや面取りも重要といえます。

 

バリによる設備へのダメージ

部品のバリなどはほとんど見えないものだとしても、しっかり除去できていないと設備に大きなダメージが起こることもありえます。
たとえば、円錐ころのように、製品がテーパーになっていれば、加工前に向きを揃えないといけません。
テーパーの長さによって製品の安定が異なりますので、設備内の搬送部品にバリがあると引っ掛かり、時に向きが逆転する恐れが生じます。

いわゆる反対研削といいますが、製品がテーパーになっていると研削砥石やシュー、ブレード、調整砥石などにも角度が付いていることが多く、製品の向きが変わるだけで設備に負荷が発生してダメージを負うことが多いです。
シューやブレードの超硬部も破損し、砥石も割れて復旧に時間を要することが懸念されます。

たった一つの部品にバリがあるだけで思わぬ被害を受ける可能性がありますので、バリ取りや面取りは設備を守るためにも求められています。

 

8.まとめ

研磨加工は研削加工と違い、最終工程に用いられることが多く、製品精度を高めて外観の綺麗に仕上げる加工方法です。
工場で出荷される製品の品質を保つためにも研磨加工は重要といえます。

また、製造現場では段取り部品や搬送設備などのバリ取りや面取りにも研磨加工が取り入れられており、これをしないと思わぬトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。

砥石の選定や加工方法、加工条件と悩むことも多いですが、研磨加工の改善をすることはライバル企業と差異を図ることにもつながります。

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