研究開発部の新井です。
今回は神経科学の視点からXEBECストーン 弾性シャフトタイプを解説します。
当社独自の砥石とシャフトをもつリューター用の先端工具です。
シャフト部がばね鋼のため、工作物への当たりが柔らかく、加工時のビビリを抑制できます。穴あけ加工後に発生した穴口元、抜け側のバリ取りに最適な製品です。
こちらの動画の通り、XEBECストーン 弾性シャフトタイプ(以下、弾性シャフトタイプ)でバリ取りを行う際に、砥石はほとんど跳ねません。
弾性シャフトタイプを使用しているお客様からは、以下のように好評です。
このように、弾性シャフトタイプは「使いやすさ」が大きなポイントになっています。これには神経科学の観点から理由があります。
神経学の分野には「遠心性コピー」という概念があります。これは、人が体を動かす際、脳から筋肉に送られる指令のコピーを脳内でフィードバックし、自分の体が意図通りに動いたか確認するための仕組みです。
具体的には、脳は筋肉への指令と同時に、その動きがどうなるかを予測する神経ネットワークも持ち、実際の動きと予測結果を比較します。この差異が小さいほど、体の動きがスムーズになり、道具の操作も上手くなります。
例えば、ピアノの演奏や字を書くスピードの向上、ボールを狙い通りに投げる技術も、この脳内の予測と実際の動きのズレを減らす練習を通じて、脳内モデルが精密化することで実現します。
弾性シャフトタイプの使いやすさは、「遠心性コピー」と深く関係しています。つまり、実際の砥石の動きが脳内の予測と一致しやすく、その結果「使いやすい」と感じるのです。この特徴は、特許技術であるセラミック砥石とばね鋼の2つの素材特性によって実現されています。
砥粒ではなく当社独自のセラミックファイバーを研磨材に使用している砥石です。繊維1本1本はミクロンレベルのもので、砥石内にはこれが大量に含まれております。そのため、バリを大きく削り取るというより、細かく粉砕するように削ります。よって、ロータリーバーや大きな砥粒を含む砥石と比べると削った時の反発が少なくなります。
ばね鋼とはその名の通り”ばね”に用いられる金属で、高い強度と弾性を特徴とします。一般的な軸付砥石には用いられていないばね鋼を、絶妙な剛性に設計した上でシャフト部分に採用することで、砥石の跳ねにくさを実現しています。
以上の2つの特長より、弾性シャフトタイプは意図しない砥石の跳ねが抑えられており、砥石の挙動が無意識に予測しやすいため、”使いやすい”と感じるのです。
今回は、XEBECストーン弾性シャフトタイプの特徴を神経科学の観点から解説しました。
この弾性シャフトタイプが気になるという方、今年11月のJIMTOFのジーベックブースにて体験できますので、是非お試しください!
あわせて「手作業バリ取りの”困った”」をお聞きする企画もしています。研究開発部の私がコーナーに立ちますので、お立ち寄り下さい!