2021.11.30 バリ取り機とは?

これまでバリ取りは作業者が手作業で行うのが主流でした。しかしバリ取り機を導入すれば、バリ取りにかかっていた時間や労力を減らすことができます。

ここでは、バリ取り機の基礎知識や種類について解説します。

 

1.バリとは

バリとは、金属やプラスチック、ゴムなどの素材を加工した際に発生する、トゲやギザギザのことです。主に以下の3種類のバリが存在します。

  • ・切削加工のバリ
  • ・プレス加工のバリ
  • ・鋳造・鍛造・射出成型のバリ

 

バリを放置すると、以下のようなトラブルにつながります。

  • ・バリと隣接部品の干渉
  • ・製品の性能低下や故障
  • ・取り扱う人のケガ

 

バリによる意図せぬトラブルを防ぐために、加工後の素材にはバリ取りを施す必要があります。
なお、バリやバリ取りについては、以下の記事「バリ取りとは」で詳しく解説しています。

https://www.xebec-tech.com/study/about_deburring/

 

2.バリ取り機とは

バリ取り機とは、素材に付着したバリを自動で除去してくれる装置のことです。

少量のバリであれば、作業者が手作業で除去した方がコストは安くなります。
しかし、製品を大量生産する場合、手作業でのバリ取りは現実的ではありません。
また、手作業の場合は作業者によって仕上がりにバラつきが生じたり、バリの取り残しが発生したりもします。

そこでバリ取り機を導入し、短時間で安定的にバリを除去します。

 

2.1. バリ取り機を導入するメリット

バリ取り機の導入には以下のようなメリットがあります。

  • ・製品の品質が安定する
  • ・短時間で大量の製品のバリ取りができる
  • ・粉塵作業が不要となり、健康面の不安が減る
  • ・大量生産であればコストが下がる
  • ・人員不足の解消につながる
  • ・作業者の怪我のリスクが減る

 

2.1.バリ取り機を導入するデメリット

バリ取り機の導入には以下のようなデメリットがあります。

  • ・導入に初期コストがかかる
  • ・設置スペースが必要となる
  • ・製品形状の変化などに対し、柔軟な対応が難しい
  • ・少量・多品種生産の場合にコストが回収できなくなる

 

3.バリ取り機の種類

バリ取り機には以下のような種類があります。

  • ・6軸ロボット式バリ取り機
  • ・汎用機を用いたバリ取り機
  • ・冷凍バリ取り機
  • ・電解バリ取り機
  • ・レーザーバリ取り機
  • ・超音波バリ取り機

 

それぞれのバリ取り機について詳しく解説していきます。

 

3.1. 6軸ロボット式バリ取り機

(引用:https://www.directindustry.com/ja/prod/abb-robotics/product-30265-1825679.html

6軸ロボット式バリ取り機は、6軸ロボットのハンドに主軸を取り付け、小型のカッターなどを回転させてバリを削ります。
製品が複雑な形状であっても、ロボットの姿勢を変化させることで、カッターを適切な方向から当てることが可能です。

6軸ロボット式バリ取り機を導入するうえでは、教示作業(可動域の調整やプログラムの作成)が重要です。
具体的には、熟練の技術者によって以下のような調整を行う必要があります。

  • ・バリ取り時の各姿勢の調整
  • ・製品に傷をつけずバリだけにアプローチするための調整
  • ・決められたサイクルタイムを順守するための調整

など

また同じ製品でも、違う金型で鋳造することで寸法はわずかに変わってきます。
そのため、金型ごとに教示プログラムを分けるなどの対応を行わないと、バリが上手く取れなかったり、製品に傷が付いたりするなどのトラブルが発生します。

6軸ロボット式バリ取り機は一見導入のハードルが高いようにも思えますが、大変なのは最初だけです。
初期設定さえ済ませれば、安定した品質で製品を大量生産できます。

最近ではロボット本体にカメラを付け、画像処理で製品の種類を見分けたり、製品の若干の位置ずれを検知・調整したりする技術も発展しつつあります。
その他にも、製品の3次元CADデータを基にプログラムを作る「オフラインティーチング」という技術も増えているようです。

技術レベルの向上により、6軸ロボット式バリ取り機は今後ますます普及していくでしょう。

 

3.2. 汎用機を用いたバリ取り機

マシニングセンタや複合旋盤などをバリ取り機として使用する方法もあります。
穴あけ加工やフライス加工などに使っている既存の設備を使うため、新規に設備を導入する必要がありません。
コストを抑えつつ導入できる点がメリットです。

汎用機を用いたバリ取りの一例として、穴あけ加工に使用するマシニングセンタを利用する方法があります。
新たにバリ取り用の金属製ブラシを追加し、ブラシを回転させながらバリ部分へと当てます。

注意点は、バリ取りの加工時間が工程に追加される点です。
定められたサイクルタイムに収まるかどうかを事前に確認しておく必要があります。

またバリを除去できる部分が限られる点も注意が必要です。
汎用機を用いる場合は、ロボットのように姿勢を変化させてさまざまな角度からアプローチすることはできません。

中にはインデックステーブルで製品の向きを変えられるタイプもありますが、自由度はロボットに劣ります。
汎用機を用いる場合は、除去したいバリへの対応可否を事前に確認しておく必要があります。

 

3.3. 冷凍バリ取り機


(引用:https://premium.ipros.jp/tn-sanso1/product/detail/2000213832/

冷凍バリ取り機は液化窒素の冷熱(約マイナス200℃)により、ゴムやダイキャストなどの低温脆性を利用してバリ取りを行います。
ゴムやダイキャストが冷却された際、脆化して固まる性質を利用します。
バリ部分は厚みがないため、脆化して固まった状態で衝撃を与えると優先的に除去される仕組みです。

衝撃を与える方法として主流なのは「ショット方式」です。
メディアと呼ばれる樹脂製の細かい粒を対象の製品にぶつけます。
メディアの大きさや投射速度を変更することで、さまざまな大きさのバリへと対応可能です。

冷凍バリ取り機はコスト削減やバリ取り作業の効率化につながります。
加えて手作業では除去できないようなバリにも対応できるのも強みです。

 

3.4.電解バリ取り機


(引用:https://www.ipros.jp/product/detail/2000353547/

電解バリ取り機は、電解加工法という技術をバリ取りに応用しています。
バリ取りの対象は金属製品で、電解液中に+極のワークと-極の電極を浸して通電します。

電解バリ取り機を用いるメリットは以下の通りです。

  • ・二次バリや加工応力による歪みが発生しない
  • ・熱による歪みが発生しない
  • ・機械的な加工では届かない場所のバリを除去できる
  • ・カッターやブラシなどの消耗がない
  • ・短時間で複数のバリを除去できる

 

ただし、バリ以外の場所も溶かしてしまうため、電力を上げて大きなバリを除去することには不向きかもしれません。

 

3.5.レーザーバリ取り機


(引用:https://www.ipros.jp/product/detail/2000077075

レーザーバリ取り機は、ロボットハンドにレーザー照射装置を装着し、レーザー熱によってバリを除去します。
消耗品がなく、定期的な部品交換は不要です。

レーザーバリ取り機の最も大きなメリットは、これまで困難だった樹脂製品のバリ取りができる点です。
機械加工では、樹脂バリは柔らかいのでカッターを当てても逃げてしまい、バリ残りが発生することがありました。
しかし、レーザー熱であれば、樹脂バリを確実に溶かすことができます。

樹脂製品の他にも、非金属やガラス、セラミックなどの素材にも対応できます。

 

3.6.超音波バリ取り機


(引用:http://blue-galaxy.co.jp/?page_id=621

 

超音波バリ取りとは、水の中に強力な超音波を放射して、微細な衝撃波を起こしてバリを除去する方法のことです。

衝撃波がバリに当たると、バリは強く押され製品との境界部にせん断力が働きます。
たとえば、25KHzの周波数の超音波なら、1秒間に25000回繰り返し負荷がかかります。
繰り返し負荷をかけ、疲労破壊でバリを落とす仕組みです。

注意点は、対象物に合わせて衝撃力をコントロールする必要がある点です。
衝撃力が小さいとバリがなかなか除去できず、強すぎると製品自体を破損してしまう恐れがあります。

 

4.まとめ

バリ取り機を導入するメリットは、短時間で安定した品質でバリ取りを行えることです。
また人員不足の解消や怪我の防止にもつながります。

バリ取り機には複数の種類があります。導入時は目的や製品に応じ、バリ取り機を選定することが大切です。

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