2008.07.01 受動的なバリ取りから能動的なバリ取りへ

皆さん、白ろう病というものをご存知でしょうか? 白ろう病は、バリ取り・仕上げ工程に携わる方々が発症しやすい職業病の一つです。激しい振動を伴う道具を長時間使うことで、手や腕の自律神経に障害が生じ、手のふるえが止まらなくなったり、血行が悪くなって指先が蒼白になったりする病気のことです。

 
そのような負荷の高い作業を一日続けて同じような仕上がり品質を維持出来るのでしょうか?
作業者は楽しいと思ってやっているでしょうか?
限られた大事な人材は、もっと付加価値を生む分野で活用することが、働く人の幸せと企業の競争力に繋がるのではないでしょうか?
企業側からすると、バリ取りはノーリターンなだけでなく品質の不安定性とコストというハイリスクの要素をもった厄介者です。その不安定性を排除する一つの解が、人手に頼らないバリ取りの自動化ということになると思います。また、自動化は、不安定性を排除するだけでなく、新たな付加価値を生み出すことにも繋がります。例えば、バリ取りにかけている人員を年間で3名減らすことが出来れば、工作機械を新たに1台購入出来るくらいの金額に匹敵します。
 
それにも関わらず私どものデータによると新規ライン担当者の6割以上がバリの発生を認識しながらも事前に能動的な対策を講じることができず、結果付け焼刃的な手作業によるバリ取りもしくはその対策に貴重な時間を大幅に費やしています。
 
バリ取り・仕上げ工程の置かれている状況と問題点を簡潔に表すとこのようになります<リンク>。現在のバリ取りは「受動的なバリ取り」と言えます。
 
「バリなきこと」とその一方で「バリ取りでお金はもらえない」という事実。これを直視して設計段階から事前に能動的な対策を講じることがリスクの構成要素である品質の不安定性とコストを解消する一番の方策なのではないかと主張致します。
 
私どものお客様の中では、生産ライン立ち上げ後に当社ツールと既存の設備を用いた工程改善により、自動化に成功されたお客様が多くいらっしゃいます。また、それをきっかけとして、次世代型や新部品ラインを立ち上げるお客様のほとんどが、あらかじめバリ取りを考慮に入れた工程開発、つまり「能動的なバリ取り」、をされ、余計なコストと手間・時間をかけずにバリ取り自動化のメリットを享受されております。
 
設計図面における「バリなきこと」を実現するために、如何に加工現場の生産技術スタッフの方から開発・設計スタッフに具体的な手法を示すことができるか、が企業の製造力そのものだと思います。
 
そのためには、「受動的なバリ取りから能動的なバリ取りへ」<リンク>という考え方をあらゆる段階の方々が共有することが不可欠であると考えます。
 
バリ取りの自動化は、あらゆる部品、あらゆる地域において万能ではありませんが、蓄積された製造技術力と経験をもつ日本のような先進国において、知恵を絞る格好の場所ではないでしょうか?
 
その手段としてのツールを提供して皆様に貢献することが当社の使命だと考えております。
 
代表取締役社長 住吉 慶彦

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