
こんにちは、研究開発部の新井です。
今回は、バリを確認する際に活躍する人の目に焦点を当てます。
金属加工の現場では、「バリ」の確認にいまだに「目視検査」が多く用いられています。
以前、当社が実施した調査によると、バリの確認方法として2番目に多かったのが目視による確認でした。
たとえ高性能なカメラや検査装置が存在していても、人間の目に頼るケースは少なくありません。たとえば、バリ取り中に手元でバリの有無を確認するには、目視が最も早い手段のひとつといえます。
しかし、金属切削加工で発生するような1mm以下の微細なバリを見分けるのは容易ではなく、作業者の視覚能力に大きく依存しています。
したがって、人の目は品質管理のために非常に重要な存在であるといえるでしょう。
本記事では、そんな目の正体を関連する細胞から解説し、バリの確認力を高めるための栄養素までご紹介します。
まず、目の構造を解説します。
人間の視覚は、光を感知する網膜の細胞と、それを処理する脳のネットワークによって成り立っています。
名称 |
説明 |
| 錐体細胞 | 網膜中心の「中心窩」に多く分布しており、明るい環境下で色の識別や細かい形の認識を担います。高解像度の視覚に関与しています。 |
| 桿体細胞 | 暗所や夜間に働き、光の強弱を検出する細胞です。網膜の周辺部に多く分布しており、色の識別はできませんが、非常に高い光感度を持っています。 |
| 水平細胞 | 隣接する視細胞(錐体細胞、桿体細胞)同士の信号を調整し、コントラストや境界の強調に寄与します。 |
| 双極細胞 | 視細胞からの信号を受け取り、網膜神経節細胞へ中継する役割を担っています。 |
| アマクリン細胞 | 双極細胞と網膜神経節細胞の間で信号処理を行い、明暗や光刺激の情報を補正・強調します。 |
| 網膜神経節細胞 | 双極細胞やアマクリン細胞などを介して視細胞から受け取った情報を統合し、視神経を通じて脳へ伝達します。形や輪郭などの視覚情報を脳に届ける重要な細胞です。 |

バリを認識するのに特に重要な役割を果たす細胞は以下の通りです。
1mm以下のバリのような微細物体を見分けるには、中心窩の錐体細胞が不可欠です。
この領域には直径0.3~0.5mm程度にわたり高密度の錐体細胞が並び、0.1mmほどの微小な物体でも視認可能だとされています。
バリのような異物を識別するうえでは、わずかな凹凸や光の反射の違い、つまり「エッジ」や「コントラスト」を明確にする働きが重要です。
水平細胞は、視野内で隣り合う視細胞からの信号を比較し、「エッジ」を強調します。
また、アマクリン細胞もコントラストや明暗の情報を補正・調整する役割を担い、異物の判別精度を高めます。
これらの細胞を活用し、バリを以下のステップで視認します。
バリの表面から反射した光を網膜中心の錐体細胞が受け取り、視覚情報として電気信号に変換します。
微細な凹凸や金属の光沢などもこの段階で検出されます。
水平細胞やアマクリン細胞が、周囲との明暗差や凹凸の変化を強調し、双極細胞を介して網膜神経節細胞へと信号を伝達します。
このプロセスにより、バリの輪郭が際立ちます。
網膜神経節細胞から送られた信号は視神経を通じて脳の視覚野に到達し、「通常の表面とは異なる構造」としてバリが異物として視覚的に認知されます。
バリを認識するために駆使する目の健康を守り、視力の低下を防ぐには適切な栄養素の摂取が効果的です。
代表的なものを以下に紹介します。
| 栄養素 | 主な役割 | 多く含む食品 |
|---|---|---|
| ルテイン・ゼアキサンチン | 黄斑(網膜中心部)の保護、コントラスト向上 | ほうれん草、卵、ブロッコリー |
| ビタミンA(βカロテン) | 錐体細胞・ロドプシン(光を感知するタンパク質)合成 | にんじん、かぼちゃ、レバー |
| DHA・EPA | 視神経の伝達スピード向上 | サバ、鮭、イワシ、アマニ油 |
| ビタミンC・E | 抗酸化・老化防止 | 柑橘類、アーモンド、ピーマン |
| 亜鉛・セレン | 神経信号処理、細胞修復 | 牡蠣、卵、海苔 |
上記の栄養素を含むバランス良い食事として「鮭の塩焼き定食」がおすすめです。

バリのような微細な異物を正確に見分けるためには、中心窩の錐体細胞による高解像視覚と、水平細胞やアマクリン細胞による境界の強調処理が不可欠です。
そして、それらの機能は日々の栄養によって維持・向上できます。
目を大切にすることがものづくりの品質を守る第一歩といえるでしょう。
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