2020.12.11 MCナイロンにXEBECブラシを使ってバリ取りしてみた

新人営業の山口です。

先日お客様を訪問した際にこんなことを言われました。
「ジーベックさんのバリ取りブラシ、このMCナイロンに使うとどんな感じになるの?」

僕はこの質問に対して

・ワークが溶けてしまう恐れがある
・樹脂に対してはピンク色のXEBECブラシが最適である。

などなど持っている知識を伝えましたが、
明らかに説得力に欠けていました。
理由は“自らの手”でMCナイロンに対してXEBECブラシを使ったことがなかったから、
つまり“知識”はあったが“経験”が無かったためです。

そこで、当社にあるロボットで簡易的な実験を行ってみることにしました!

実は、当社には東京本社にも簡易的な実験を行うことが出来るロボットがあるのです。

テストピースは弊社の開発部にあった廃材を使用しました。

準備が整ったので実験のスタートです!

1回目トライ

まずは樹脂向きのブラシであるピンク色のXEBECブラシを使ってバリ取りをしてみます。

回転数は4000rpm、送り速度は300mm/min、切込み量は1.0mmでトライ!
さあ結果はどうでしょうか??

1回目結果

あ、あれ、、??
バリが全く取れていない、、、

そうなのです。
実はMCナイロンは強靭な材料で粘り気もあるためバリが大きく、
樹脂向きのピンクのブラシでは歯が立たないのです。

聞いてはいたのですが、本当にそうなのか疑問に思っていました。
やはり実際にやってみるものですね。

この後も条件を変えていろいろ試しましたが、全く歯が立たず、、、

2回目トライ

つぎに、赤色のブラシでトライです!

赤ブラシはピンクブラシより一つ研削力の高いブラシで、
アルミに対して使ってもらうことが多い製品です。

ただ、MCナイロンのようなバリが大きく出る樹脂に対しては、
赤ブラシを使うと良いということを聞いていました。

やっと本命の登場ともいえます!
回転数は4000rpm、送り速度は300mm/min、切込み量は1.0mm
とりあえず先程のピンクブラシと同じ条件でトライ!
どうなるでしょうか??

2回目結果

なんと、エッジが大きくダレて、一部材料が溶けてしまいました!

どうやらパワーが強すぎたようですね。
樹脂は金属と違って融点がかなり低いので、
条件を間違えると簡単に溶けてしまいます。

3回目トライ

ブラシは同じく赤色のXEBECブラシでいきます。

しかし、さっきはパワーがありすぎたようなので、今回は
送り速度を上げて、切込み量を下げてみましょう。
(これは金属でエッジがダレすぎた際にも有効な方法です!)

回転数は4000rpm、送り速度は2500mm/min、切込み量は0.5mm
どうなるでしょうか?

3回目結果

バリは若干とれたものの、まだしっかりと残ってしまっています。

なるほど、今回はややパワー不足だったようです。
んー、、むずかしい!
条件を少し変えるだけでバリの取れ方は大きく変わってしまうのですね。

この後も何度もトライを繰り返し

繰り返し…

8回目のトライ!!

8回目結果

ついに成功しました!!

回転数は4000rpm、送り速度は1500mm/min、切込み量は0.5mm
この条件でバリは一切残っておらず、
綺麗に取りきることが出来ました!

まだ少しエッジがダレてしまっていますが、
本社にある設備は簡易ロボットのため、数値を細かく設定することが出来ず断念。
マシニングセンタなどであればまだまだ改善の余地がありそうです!

この実験によって、僕はきれいにバリを取り切ることが出来る加工条件を知ることが出来ました。

そして、この実験で得られた、最も大事なことは
「自ら手を動かすことで得られる経験」にあると思います。

少し話が変わりますが、僕は以前、生産技術職として働いていたことがあります。
その頃は自分が営業マンのPRを聞く側だったわけですが、
営業マンから聞きたいことというのは“知識”ではなく“経験”でした。

知識というは基本的にカタログやHPの技術情報ページを見れば分かります。
本当に知りたいのは営業マンが過去に関わってきた案件内容や実績、
そういう生の情報にこそ価値があるためです。

いくら知識を持っていたとしても、それだけだと机上の空論になってしまいます。
そんな状態では相手に納得してもらい、信頼を得ることは出来ません。

今回は知識としてしか持っていなかったMCナイロンのバリ取りを
実際に手を動かして体験することで
目で見て
音を聞いて
触ってみて
“知識”を“経験”にすることが出来ました。

実際この実験の後、たまたまMCナイロンのバリ取りのご相談を頂いたのですが、
細かい条件やワークの状態など事細かにアドバイスすることが出来ました。
やはりこういうことは実際にやってみるに限りますね。

まだまだ僕は新人で知識も経験も浅いわけですが、
今後も自分の体を使って多くの体験をしていきたいと思っています。

このように、皆様から頂くご相談の一つひとつで自分たちも成長させてもらっています。
もし
「こんな大きさバリってとれるのかな?」とか
「こんな材料のバリでも取れるのかな」とか
少しでもバリ取りでお困りのことがあれば、一度ご連絡を頂きたいです。

口先だけではなく、皆様の困りごとを本質から改善できるよう全力を尽くします!

バリ取り自動化のご相談はこちら

記事一覧