
こんにちは、研究開発部の新井です。
今回は、金属部品を面取りした際に起きている現象を、自然界の水の流れの一つである滝に置き換えて考えてみました。
これにより、XEBECバリレス面取りカッターのV字型切れ刃の効果をより理解できるようになりました。
まず、一般的な直刃の面取りカッターを用いた面取りを考えてみます。
直刃の面取りカッターでは、ストレートな刃先全体で切削が起こり、切られた金属が面取りの外側へ逃げる余地があります。
行き先を与えられないまま外へ流れた金属は、その一部がバリとして面取りの外側に残ります。

次に、XEBECバリレス面取りカッターでの面取りを考えてみます。XEBECバリレス面取りカッターは世界初のV字型切れ刃を持っています。
このV字型切れ刃では、切削時に生じた金属が刃の両側から面取り内側へと誘導されるため、金属の流れが外側へ逃げにくくなり、結果として面取り時のバリの発生が抑えられます。

この直刃とV字型切れ刃の違いをもう少し深く見るために、切削加工中の金属の挙動に注目してみます。
面取りカッターのような切削加工の際に、工具刃先近傍の金属では非常に大きなせん断応力が発生し、降伏点を超えます。この際、金属は塑性流動と呼ばれる挙動を示します。
塑性流動とは、金属が固体でありながら、力が加わる方向に連続的に形を変えながら移動する現象です。

(出典:Zannoun, Hamzah, and Julius Schoop. “Analysis of burr formation in finish machining of nickel-based superalloy with worn tools using micro-scale in-situ techniques.” International Journal of Machine Tools and Manufacture 189 (2023): 104030.)
このとき、金属は粉のように砕けるのでもなく、液体のように溶けるわけでもありません。
しかし、力のかかり方次第で、あたかも流れるような振る舞いを見せます。
つまり、切削とはこの塑性流動を伴った金属を、刃の形に従って移動させている行為だとも言えます。
そして切削により発生するバリとは、塑性流動した金属が、拘束されていない外側へはみ出した結果として生じるものです。
これは面取りにより生じるバリにも当てはまります。
ただ、面取り中の金属の流れは目では見えないため、イメージが難しいかもしれません。
そこで、面取り中の金属の流れを自然界の水の流れの一つである滝に置き換えて考えてみます。
静岡県には白糸の滝があります。
白糸の滝は、滝幅およそ150メートルにわたる岩壁全体から、無数の細い水流が糸のように流れ落ちています。
これは、上流で水が集約されているからではなく、富士山の伏流水が溶岩層の隙間から面状に湧き出しているためです。
白糸の滝には、水をまとめる溝も流れを誘導する谷もほとんど存在せず、水の流れを放っている状態だと言えます。

これは、直刃の面取りカッターでの面取りとよく似ています。
ストレートな刃先全体で一斉に切削が起こり、切られた金属は行き先を与えられないまま外側へも流れます。
白糸の滝と同じく、流れを止めてはいませんが、導いてもいません。
その結果として、バリが面取りの外側に残る余地が生まれます。
栃木県には華厳の滝があります。
華厳の滝は白糸の滝とはまったく違う印象を与えます。
滝そのものは一本で、その上流には中禅寺湖という大きな湖があります。
広い湖に蓄えられた水が、出口の地形によって一方向に導かれた結果として、華厳の滝は生まれています。
水は流れ続けたまま、出口の形が行き先を決めているのです。

これは、XEBECバリレス面取りカッターのV字型切れ刃の働きと重なります。
切削で生じた金属は止まりませんが、V字型切れ刃の形状が、その流れを面取り内側へと導きます。
金属が外へ逃げる前に、流れは中央へ整理され、面取りの外側のバリの発生が抑えられます。
ここまでを見ると、地形が水の行き先を決めており、それはそのまま金属の面取りにも当てはまることが分かります。
直刃は白糸の滝のように金属の流れを放ち、V字型切れ刃は華厳の滝のように金属の流れを導きます。
その違いが、面取り時のバリの発生の違いという結果に表れているのです。
したがって、V字型切れ刃をもつXEBECバリレス面取りカッターは、流れる金属に行き先を与えることにより、バリの発生を抑える工具なのです。
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