
例年、インターモールド振興会によって開催される展示会「インターモールド」。
ジーベックテクノロジーも長年にわたり出展を続けており、当社ブースでは恒例企画として金型磨きコンテストを実施している。
ありがたいことに年々参加者は増えており、全体のレベルも確実に向上している中で、毎年のように上位に名を連ねる企業がある。
https://www.nichia.co.jp/
同社では、2024年は1位・4位、2025年は3位と、毎年のように上位ランカーを輩出し、
日々の磨き作業でもXEBECセラミック砥石をご使用いただいている。
その技術の裏側にはどのような背景があるのかを探るべくインタビューを依頼したところ、快く快諾いただくことができた。
そしてその貴重な生の声を通して見えてきたのは、結果の裏側にある“磨きに対する捉え方そのもの”だった。

日亜化学工業では、磨きコンテストを単なる腕試しの場とは捉えていない。
「磨き作業の自動化は目指していますが、現時点ではまだ難しい。だからこそ、磨きができる人を増やす必要があると考えています。」
そう語るのは、2024年に4位、2025年に3位に入賞した増田様(上記写真右)と、その上長の川原様。(上記写真左)

増田様は、日常業務でも磨きを中心に担当されており、磨き歴は約14年になる。
彼らにとって磨きコンテストは、結果を競う場であると同時に、工程を考える力を鍛える場となっている。
・求められる面粗度をどう満たすか
・どの工具を、どの順番で使うか
・どこで判断を切り替えるか
こうした思考を、限られた条件の中で突き詰める。
それが、日々の現場作業にもそのままつながっている。
日亜化学工業が毎年のように結果を出し続けている背景には、とある「社内での取り組み方」がある。
本番前には、磨きコンテストと同じワーク、同じ面粗度計を使った社内予選を実施し、条件を揃えた上で、結果と工程を確認している。
「磨き作業の自動化を目指しつつも機械での自動化はまだ難しく、磨き作業が出来る人を増やすことに取り組んでいます。
普段磨き作業をしない人でもRa0.050など良い数字が出ますし、上位者はRa0.030を切るような数字が出ることが多いです。
その中で自分の実力を確認したり、求められる規格を満たすための手法や工程設計ができる力を身につけることに役立てています。」
重要なのは、数値や技術そのものだけではなく、
・なぜこの工程にしたのか
・なぜこの番手を選んだのか
・どこで判断を変えたのか
このような思考プロセスが共有・蓄積され続けることで、個人の技量が組織の力へと還元されていく、理想的なサイクルを生み出している。
取材の中で印象的だったのが、「磨き職人の技量は何で決まると思いますか?」という問いへの答えだ。
「引き出しの多さだと思います。」
「初めて仕上げるワークに対して、ツール・工程・手法を決めて規格を満たすものを作り出せるのが本物の職人です。
磨きコンテストもそうですが、どうしたらうまくいくか、という点について考えることが重要です。
その考える力が身につかないと、工程を作ることができず、規格を満たすことはできません。」
磨きは、手先の器用さだけで決まるものではない。
考え続けられるかどうかが、最終的な差として明確に現れる。

上位入賞者が使っている工具や番手構成も、一様ではない。
一般的には赤色のセラミック砥石(#1200)を長く使うケースが多い中で、増田様はこれを使わず、
#120 / #300 / #600 / #800 / #1000 の5本で仕上げている。
そこには明確な意図がある。
・前工程でどこまで面を作るか
・仕上げに何を求めるか
・番手を増やすことが、本当に最適か
道具は目的ではなく、工程設計の結果として選ばれている。
製品そのものよりも、どの工程で、どんな役割を担うのか─という視点で理解されることが重要だ。

日亜化学工業には、もう一つ特徴的なルールがある。
「1位を取ったら、次の世代に継承することになっています。」
実際、2024年に1位を取った佐藤様は、2025年には参加していない。
「なので、私も1位を取ったら卒業ですね(笑)」
と、増田様は語る。
勝ち続けることよりも、技能を次に渡すことを優先する。
この考え方があるからこそ、毎年、新しい上位入賞者が生まれている。
※日亜化学工業では、こうした思想をもとに、磨き技能の育成と継承に取り組んでいる。
今回の取材を通して見えてきたのは、
磨きコンテストが育てているのは「技」だけではない、ということだ。
■工程を考える力
■判断を言語化する力
■技能を共有し、次へつなぐ文化
磨きを属人化させず、組織の力へ変えていく。
日亜化学工業は、人と考え方を育て、
XEBECは、その考え方を支える道具をつくる。
両者の取り組みが交わる場所に、この磨きコンテストがあった。
本インタビューに先立ち、増田様には磨きコンテストの実演動画の撮影にも協力いただいた。
実際の磨き作業を通して、長年の経験に裏打ちされた手さばきが伝わってくる貴重な内容になっているため、ぜひ動画もチェックいただきたい。
ジーベックテクノロジーは今年もインターモールド へ出展することが決定しました。
もちろん 金型磨きコンテスト も同時開催いたしますので、みなさまのチャレンジをお待ちしております!
→当社ブースの詳細は、コチラよりご確認ください。
さらに今回は、これまで競技では使用してこなかったXEBECマイスターフィニッシュの細番手も用意し、
より高い面粗度を目指す、「新たな磨き体験」にも挑戦いただける内容を予定しています。
磨きの考え方や番手による違いを、実際の手元で確かめられる機会として、ぜひ会場でご覧ください。
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