2026.03.18 金継ぎの研ぎ工程にマイスターフィニッシュ #3000相当が選ばれる理由

 

こんにちは、研究開発部の新井です。

今回は、XEBECマイスターフィニッシュ(以下、マイスターフィニッシュ)が、
工業の現場を飛び出して金継ぎの工程で使われている事例をご紹介します。

金継ぎの工程の中でも、研ぎ工程は仕上がりを左右する重要な作業です。

実際にマイスターフィニッシュ #3000相当(ピンク)を使用されている金継ぎ教室「つぐつぐ」にご協力いただき、
その具体的な活用場面を掘り下げます。

XEBEXマイスターフィニッシュの詳細はこちら

 

金継ぎとは

金継ぎは、割れたり欠けたりした陶磁器を漆でつなぎ、継ぎ目に金粉などを施して仕上げる日本の伝統技法です。

陶磁器を修復する技術でありながら、その本質は単なる修理にはとどまりません。

壊れた痕跡を消すのではなく、あえて金で縁取ることで残すのです。

これにより、傷は隠す対象から美しさへと意味づけが変わります。

金継ぎは、割れや欠けを否定せずに受け入れ、価値へと転換する営みと言えるでしょう。

 

金継ぎの工程

金継ぎの工程は大きく5ステップで構成されています。

参考:金継ぎってどうやるの?簡単5ステップ|写真付き完全解説で初心者でもできる!​

 

1. 破片を接着する

割れた陶磁器を洗浄・乾燥させた後、生漆・小麦粉・水を混ぜた麦漆(むぎうるし)で破片同士を接着します。
破片の高さに段差が出ないよう正確に合わせ、マスキングテープで固定して乾燥させます。

2. 欠けや溝を埋める

欠けた部分には、麦漆に木粉や砥粉を混ぜた刻苧(こくそ)と呼ばれるパテを薄く盛り、形状を復元します。
一度に厚く盛らず、乾燥と充填を繰り返しながら徐々に元の輪郭へ近づけます。

3. 小さな穴や隙間を埋める

刻苧が乾いたら表面を平らに研ぎ、さらに砥粉・水・生漆を混ぜた錆漆(さびうるし)を塗布して表面を整えます。
割れの隙間や微細な凹みを埋め、下地を滑らかに仕上げる工程です。

4. 黒漆を塗る(中塗り)

乾燥した錆漆を平らに研いだ後、生漆を精製し黒粉を混ぜて作った黒漆(くろうるし)を塗ります。
継ぎ目を覆うように薄く塗布し、金粉を蒔くための均一な下地を形成します。

5. 金粉を蒔く

黒漆を軽く水研ぎして表面を整えた後、弁柄粉を混ぜた弁柄漆(べんがらうるし)を薄く塗ります。
漆が適度な粘りを持つ状態で金粉を蒔き、乾燥させることで継ぎ目が金色の線として仕上がります。

このように、漆塗り、乾燥、仕上げを繰り返し行いながら、数週間から数カ月をかけて一つの金継ぎが完成します。

 

マイスターフィニッシュが使われている工程

金継ぎにおいて重要な作業のひとつが、各工程後に行う漆の研ぎです。

漆を研ぐことで表面をきれいに整えると同時に漆と陶磁器の段差がないよう均一な面に仕上げます。

最終工程の金粉を蒔く前の陶磁器の継ぎ目は、漆により黒色であることが多いですが、この漆の表面を整えることで、金粉を蒔いた際に美しい金色に仕上がります。

金継ぎ職人が研いだ後の陶磁器を触らせてもらったのですが、継ぎ目があることを全く感じさせない滑らかな表面で驚きました。

特に工程3と工程4における研ぎは繊細な作業が必要で、マイスターフィニッシュ #3000相当(ピンク)が活躍しております。

 

なぜマイスターフィニッシュ #3000相当(ピンク)が使われるのか

ところで、金継ぎの研ぎ工程において、様々な道具の選択肢があるかと思います。

なぜ数ある道具の中から、マイスターフィニッシュ #3000相当(ピンク)が使われているのでしょうか。

理由は3つあります。

 

1.手が入りにくい狭い箇所に使いやすい細さ

マイスターフィニッシュには、厚さ1mm×幅1mmや厚さ1mm×幅2mmのような砥石としては極めて細いラインナップがあります。

広い面は耐水ペーパーで対応できる一方、手が入りにくい狭い箇所にはマイスターフィニッシュの細い形状が活きます。

手で持つには細いと感じる場合、XEBECスティックホルダーも使用することで安定した研ぎが可能になります。

 

2. 削れすぎないため、安定して面を出しやすい

研ぎの際に漆を深く削りすぎると、最終仕上げの印象を損ないます。

#3000相当という細かい番手であるピンク色マイスターフィニッシュは削れすぎないため、除去量をコントロールしやすく、均一に研ぎながら表面を整える作業に適しています。

 

3.漆の周囲を傷つけにくい

一点ものを扱う金継ぎでは漆の周囲、つまり、陶磁器の本体を傷つけないことが最優先です。

特に金彩と呼ばれる陶磁器に施されている鮮やかな装飾は研ぎ工程中に取れやすいため、注意が必要です。

マイスターフィニッシュ #3000相当(ピンク)は細い形状かつ削りすぎないため、狙った部分だけを必要な分だけ思い通りに研ぐことができます。

以上のように、マイスターフィニッシュ #3000相当(ピンク)は、狭い箇所へのアプローチ性と削りすぎない安定性から、金継ぎの繊細な研ぎ工程を支えています。

 

工業と伝統をつなぐ砥石

本来、マイスターフィニッシュが主に使用されているのは金型の表面仕上げ工程における磨きです。

金型は、大量生産を支えるものづくりの基盤であり、同じ形状の製品を、安定して、正確に生み出すために欠かせません。

一方で、金継ぎは、大量生産・大量消費の流れの中で、壊れた陶磁器を修理し、再生し、もう一度使える状態へと導く伝統技法です。

量を生み出す現代技術と一点をよみがえらせる伝統技術。一見すると対極的な存在です。

しかし、熟練した職人(マイスター)による手仕上げによって価値を決定づけます。

工業の現場で生まれた砥石であるマイスターフィニッシュが、伝統技法である金継ぎで使われているという事実は、ものづくりの本質が手仕事にあることを示しているのではないでしょうか。

 

金継ぎ教室とワークショップ「つぐつぐ」のご紹介

金継ぎにマイスターフィニッシュをご使用いただいているのは、金継ぎ教室・修理事業を展開する「株式会社つぐつぐ」です。

株式会社つぐつぐの詳細はこちら

 

「つぐつぐ」は、壊れたものを直してほしい人と、修理したい人、そして金継ぎに挑戦したい人をつなぐことを理念に活動されています。

大量生産・大量消費の時代にあって、直して使い続けるという選択肢を社会に提示する存在です。

 

東京都内に恵比寿本店と浅草店の2店舗を運営しており、教室やワークショップを通じて、金継ぎという日本の伝統技法を広く伝えながら、持続可能な暮らし方を実践的に提案されています。

もしご自宅に「割れているけれども捨てられないもの」がありましたら、一度、「つぐつぐ」にて金継ぎという選択肢を考えてみるのはいかがでしょうか。

 


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