2020.03.18 私たち日本人に必要なのは、ちょっとした勇気

代表の住吉慶彦です。

私の個人的な悲しい体験で、
日本人の美徳が仇になってしまうかもしれない可能性に
気づかされました。
変化が早く、不透明な今の世の中で、日本人の美徳を生かすためにどうすればいいか、
考えてみました。
ポイントは、ちょっとした勇気。

悲しいことに、私のトレーナーが日本を脱出してしまいました。

彼の名前はフェリックス。
スペイン人。
日本語話せませんでした。

しかし、スペインで体育大学を出て、
スポーツ先進国である米国でトレーナーとして様々な経験を重ね、多くの資格も取得し、
サッカーの名門クラブ、レアルマドリッドでのトレーナー経験もあるような人物でした。
いいトレーナーだったのに!

なんでそんな人にトレーナーを頼めたのかというと。
要は、彼は日本で暇だったのです。
奥さんが日本人だということもあり、昨年来日したのですが、
日本語が話せないために、お客さんは、一部の外資系企業の駐在員のみ。
彼とは、紹介で知り合いました。

私は、英語が出来るというより、
英語でのコミュニケーションが苦にならない。
トレーニングの内容は、ジェスチャーや
部位を示す単語が分かれば理解できそうだし、
むしろ、レベルの高いトレーナーに教えてもらえることで
勉強になるのではないかと考え、お願いしました。

それまで私は、日常ジムでトレーニングを行い、
出張の際には、ジムのあるホテルを予約するか、
ない場合(特にヨーロッパ)には、TRXを持参し、
ホテルの部屋で自重トレーニングを行っていました。
Youtubeを見ながら自己流で。

TRXが優れているのは、嵩張らず持ち運びが簡単な上、
ドアにひっかけるだけで使えてしまうところ。

TRX ドアアンカー: http://www.trxtraining.jp/products/trx-door-anchor

もともと、アメリカの特殊部隊の方が、極秘任務で派遣された先(何もない場所)で、何日も作戦のタイミングを待つ間に、体を鍛える方法はないかと模索したことが始まりで、開発された米国発の画期的なトレーニング器具です。

フェリックスがTRXのマスタートレーナーだったこともあり、
2週間に一度、TRXを使用したファンクショナルトレーニング(身体機能を向上させるトレーニング)のコーチングをお願いしました。
彼のトレーニングの後は、体の動きが非常によくなる感覚があり、
ラグビーでも怪我をせずガンガン走れるようになったので、
とても気に入っていました。

彼のおかげで、あまりにも調子がいいので、
TRXについてもう少し深く理解しようと、
あるとき、TRXのトレーナー基礎コースを受講しに行きました。
1日のコースで、20名くらいの方が集まります。
私以外皆、ジムに所属するトレーナー。
開催場所は、TRXジャパンのオフィスに併設されたショールームです。

開催当日の朝、TRXジャパンのオフィスに行くと、ドーンとポスターが貼ってありました。
よくよく見ると、なんと、ポーズをとるフェリックスが!

Functional Movement Training Workshop: Improving Form And Technique: https://www.bodymachineps.com/latest-news/functional-movement-training-workshop-improving-form-and-technique

えーっ!
たしかに彼のコーチングはよかったですが、
TRXの広告塔になるようなコーチだったとは!
びっくりすると共に、とても誇らしい気持ちになりました。

そして、TRXジャパンの方に、
僕、この人に教わってるんだよ!って言ったら。
「フェリックス知ってるんですか!」との反応。
彼もここで教えたりするの?と聞くと、
「いえ、彼は日本語話せないから...」
ですって!
ちょーもったいないじゃん!
どうなってるの?!

トレーニングの英語なんて、ラットとかグルットとか、部位を表すものと
回数を表すワン・ツー・スリーくらいのもんなのに!
しかも、習いに来るのは、体のプロである、経験のあるインストラクター。
厳密に言葉が分からなくても、絶対分かるはず。
ダメ元で一度やってみれば、
みんな、「な~んだ、日本語でなくても分かるわ」
って思うはずなんだけどな。
と非常に残念に思いました。

 

TRXでもこんな状態なら、フェリックスが日本でどれだけ仕事がなかったか、想像がつきます。そのセミナーの後、私は、これまで以上に自分の幸運に感謝しながら、彼のトレーニングを受けていました。
しかし、彼との楽しいトレーニングも、半年も経たないうちに、終わってしまいました。

昨年末、彼は日本を去ってしまいました...
自分が求められる環境で仕事をしたかったのでしょう。
新しいジムのプログラムディレクターとして米国で仕事を得たようです。

本当にもったいない。
日本に縁のある優秀な人材を
その良さを知る機会もなく、手放してしまうことになるなんて。

たまたま、私の身の上に起こりましたが、
こういうことは、様々な分野で起こっているのではないかと思います。
日本人や日本の文化・環境は好きでも、
仕事のしにくさ等を感じ、
やむなく日本を離れる決心をする外国人の方は少なくないかもしれません。

スイスのビジネススクールIMDから毎年発表される世界競争力ランキングにおいて、
日本は、国際経験(どれだけの日本人が海外に出て働いているか、または逆に海外の人材を日本に受け入れているかという指標)分野で、63か国中63位!最下位です(2019年)。
残念ですね。
ポテンシャルは、最下位のはずがないのに。

一般の日本人が中高でならう英語の方が、
スペイン人トレーナーの使う英語よりもずっとずっと難しいです。
そもそも、ビジネスの世界であっても、専門用語さえ覚えてしまえば、
身振り手振りと単語の羅列でも通じるし、
ちゃんと話そうと思っても、
中2レベルのSVOで分かりやすい英語になります。

じゃあ、なんで日本人は英語に苦手意識があるのだろうか?

「英語を話すための7つの鉄則」という記事を参照すると、ポイントは、

*ネイティブみたいに話そうとするな。
*間違えることを楽しめ。
*ジャパニーズイングリッシュに自信を持て。
*大きな声で話せ。
*口を動かして勉強せよ。
*歌え
*とりあえず使ってみるべし。

「英語を話すための7つの鉄則」https://president.jp/articles/-/14824?page=2

 

要約すると、
間違えて当たり前、ネイティブみたいじゃなくて当たり前なんだから、
堂々と大きな声で、とりあえず話してみろ!

ってことでしょうか。

でも、それが日本人にとっては少し難しい。
なぜなら、“間違えて当たり前”“下手で当たり前”という開き直りは、
恥の文化を持つ日本人には抵抗があります。
また、“とりあえず”や“堂々と大きな声で”も謙虚な日本人はちょっと苦手。

謙虚は、日本人の美徳です。
謙虚だから、人の話を聞けるし、他人の良いところを学ぼうとするし、
恥の文化があるので、努力をする。
一方で、謙虚だからこそ、損をしていることがあります。
それが、今回の話のようなことではないでしょうか。
フェリックスが、日本で活躍の場を見いだせれば、日本での生活を続けて、
日本のフィットネス業界の発展、みんなの健康に寄与できたはず。

私は、たまたま、仕事で海外に行く機会も多いですし、
プライベートでも、所属しているコミュニティには外国人が多いです。
インド人はインド英語でまくし立ててくるし、
スペイン人は、単語の正確性なんか関係なく楽しそうに話しかけてきます。
そんな彼らを見ていると、間違ったらどうしようと思うこと自体が、
バカバカしいことに気づかされます。

謙虚は美徳だが、謙虚で遠慮深いがために行動に起こさないのは大損。
成長の機会を自ら捨てていることになります。
特に、VUCAな時代と言われる先行き不透明な今、
正解を探したり、完璧に近づくまで待っていると、
いつの間にか時代が変化し、使い物にならなくなる。

VUCA(ブーカ): 不安定要素を示す4つの言葉の頭文字を取ったもの。
 ・Volatility(変動性)
 ・Uncertainty(不確実性)
 ・Complexity(複雑性)
 ・Ambiguity(曖昧性)

 

果敢にアウトプットして、外部から受けるフィードバックによって、
自分を変化・進化させてゆく、開き直りが必要だと思います。
謙虚であることを変える必要はなく、
ちょっとした勇気だけプラスすれば、乗り越えられることです。

当社は、約15年間、世界中で、バリ取りの自動化に取り組んでいます。
成功されているユーザー企業は、ある意味完璧を目指していません。
ここまで出来たら最高だけど、この工程だけでも、削減出来たら50%時間短縮になるよね。
という考え方をして、さっさと導入してしまう企業が、成功しています。

完璧よりスピード。
一旦導入すると、バリ取りの自動化に慣れますので、
新しい部品に適用したり、既存ラインでも工夫して、その領域を拡大してゆくことが出来るようになるからです。

1から2,3は意外と簡単ですが、0と1は大違い。

ちょっとした勇気を持って、
最初の一歩を踏み出してみては、いかがでしょうか?

 

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